花きの市場動向については、令和2年から始まった新型コロナウイルスの感染拡大により、花きの大きな需要となっている冠婚葬祭などのイベントが多くの場所で自粛されたことで、年間を通じて消費機会が大幅に失われました。
一方で、緊急事態宣言等による外出自粛が続き、いわゆる“お家時間”が増加したことで、家庭内消費が増え、花きのサブスクリプションやEコマースの分野が大きく伸びました。
令和4年からは外出制限が緩和され、イベントが再開され始めたことなどから、東京都中央卸売市場における花きの取扱金額が約908億円とコロナ前の令和元年に比べて約10%増加するなど、需要が活発化している状況です。
しかしながら、花き業界全体の新たな課題として、生産コストの上昇が挙げられています。生産側では燃油高騰をはじめとした物価上昇の影響から、資材費や燃料費の負担の増加が著しく、販売価格に転嫁せざるを得ない状況です。この販売価格の上昇は、特に仏花需要を支える団塊世代の通常期(物日以外)需要に影響を与えていると考えられます。今後は、商品内容の見直しや新規商品提案など、団塊jr・ミレニアム・Z世代をターゲットとした販売戦略等を考えていかなければ、さらに厳しい状況を迎えることも予想されています。
このような状況の中、首都圏等の花き卸売市場で構成されている茨城切花流通研究会(会長:(株)大田花き 淺沼建夫氏)では、市場動向を踏まえた産地への要望や市場に出荷された花きの品質・選別状況調査に基づき、品質向上に向けた提案を産地関係者へ発信しています。
今回は、本県主要品目の取引、新規提案品目等の要望について、会員卸売会社を対象にアンケート調査を行いましたのでその結果を紹介します。
一方で、緊急事態宣言等による外出自粛が続き、いわゆる“お家時間”が増加したことで、家庭内消費が増え、花きのサブスクリプションやEコマースの分野が大きく伸びました。
令和4年からは外出制限が緩和され、イベントが再開され始めたことなどから、東京都中央卸売市場における花きの取扱金額が約908億円とコロナ前の令和元年に比べて約10%増加するなど、需要が活発化している状況です。
しかしながら、花き業界全体の新たな課題として、生産コストの上昇が挙げられています。生産側では燃油高騰をはじめとした物価上昇の影響から、資材費や燃料費の負担の増加が著しく、販売価格に転嫁せざるを得ない状況です。この販売価格の上昇は、特に仏花需要を支える団塊世代の通常期(物日以外)需要に影響を与えていると考えられます。今後は、商品内容の見直しや新規商品提案など、団塊jr・ミレニアム・Z世代をターゲットとした販売戦略等を考えていかなければ、さらに厳しい状況を迎えることも予想されています。
このような状況の中、首都圏等の花き卸売市場で構成されている茨城切花流通研究会(会長:(株)大田花き 淺沼建夫氏)では、市場動向を踏まえた産地への要望や市場に出荷された花きの品質・選別状況調査に基づき、品質向上に向けた提案を産地関係者へ発信しています。
今回は、本県主要品目の取引、新規提案品目等の要望について、会員卸売会社を対象にアンケート調査を行いましたのでその結果を紹介します。
品目 | 取引要望 |
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・輪菊は全国的な作付け減少が著しく、物日において、特に黄菊と赤菊がブーケメーカー向けに不足しているため、出荷増が望まれる。 ・小ギクについても上記と同様のため、物日に計画的な納品ができるよう出荷増を要望。 |
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・国産物が全国的に減少している。SP(スプレー咲き)カーネーションが主軸だと思うが、9~6月向けにダンアンサス類も含めた作付けを検討してほしい。 | |
バラ | ・今後は全国的に大幅な生産減が見込まれるため、まずは生産維持をお願いしたい。 ・茨城産は品質が良く、顧客がついているので、年間の安定的な出荷を要望。 |
グラジオラス | ・業務需要のほか、装飾需要等で引き合いが強まっており、暖地高冷地との切り替わりで品薄となる4月、11月の出荷増を要望。 ・九州などの暖地産が開始する11月下旬までの出荷体制の構築を検討してほしい。 |
フリージア | ・本年は促成栽培向け球根の供給が大きく減少する見込みで、次年度以降も需要に対して大幅な供給不足が見込まれる。茨城産は顧客からの要望も高いため、球根問題もあると思うが、生産拡大を要望。 |
枝物 | ・冬場のモモ、特にスリーブ入り、小束の商品が供給不足となっている。春夏は、ヒメリョウブやスモークツリー、姫水木、ドウダンツツジが供給不足。秋は、野バラやツルウメモドキ、ロウヤガキ、ナンキンハゼやクリスマス向けのヒムロスギやブルーバードなどの不足感がある。野バラはクリスマス時期まで出荷を要望。 ・ディアボロの夏場出荷が供給過剰となっているため、秋向けの出荷を要望。また、ロシアンオリーブは産地も増えて供給過剰になっているため、多少不足感のある品目にシフトすると良い。 |
鉢物 | ・カーネーションやシクラメン以外の品目で、観葉植物の4寸から5寸の物の出荷を要望。 ・関東近郊産地への集荷強化を図っているため、出荷増してもらえれば安定した販売をしていく。 |
新規提案品目の要望や最近のトレンドに関する情報提供
需要の高い品目として、枝物類、草花類が筆頭で上げられます。
枝物としては、小葉のグリーン(姫水木、コバノズイナ、ブルーベリー)などが県内でも生産されていますが、さらなる増産が求められています。秋の紅葉木も温暖化の影響で出荷が少なく、銅葉の品目や雪柳の染めで対応していますが、こちらも供給が足りていません。それらの増産と新規の赤やオレンジの葉の枝物を求める声が高まっています。
迎春用の素材としては、生産の減少している洒落た小振りのマツやセンリョウのほか、近年ではアレンジ用にオタフクナンテンのニーズも増えていることから、生産拡大が望まれます。冬春期はグリーンが著しく不足するため、ユーカリなどの常緑の葉物に限らず、ハーブやゼラニウム、ミントなどの商品ニーズが高い草花の生産拡大が求められています。
輸出向けでは、ドウダンツツジやアセボの需要が高く、輸出先の希望数量を遥かに満たしていないため、できる限りの生産拡大が要望されます。
トレンドの色目については、若い世代を中心に、くすんだラスティックな色目がここ数年人気で、ブライダルだけでなく一般小売りでも人気です。また、染色を用いたミントやブルーの花もこれまでより良く売れています。とはいえ、季節色を中心にニーズは動いているので、そこを外さず、ユニークな色目を適量チョイスしていくことが肝心です。
そのほか、サンダーソニアや春咲のグラジオラス、ラッパスイセン等、かつて人気であった品目が、ここ数年の全国的な生産減により、供給が足りなくなってきている状況があります。昔を知らないフローリストにとっては、新しい花となりリバイバル人気となっている品目が多数ありますので、これらの再生産をぜひご検討ください。